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何からやる?ブランディング
前回のコラムで中小企業のブランディングの重要性を書いたところ、地元経営者の方から「ブランディングって何からやるん?」と聞かれることがあった。
聞かれたのは自社の製品ブランディングについてだったが、お答えする時間もあまりなく、もう少し伝えたいこともあったのでこの場で補足させて頂きたい。
既存製品の場合、我々はまずブランディングは必要か?という問いからスタートする。
誤解が多いのだか、ブランドとは“すでにあるもの”なのだ。
万人からの憧れはなくとも、キラキラしていなくても、無名でも、そこに個別の企業、モノ、歴史があればそれはブランドである。
つまり、私もあなたもブランドなのだ。そのブランドのさらなる個性化(先鋭化)や価値の最大化を目指すのがブランディングである。
繰り返しになるが、経営者や従業員も気づいていないかもしれないが、そこに自社の製品やサービスがあれば、それはブランドであり、言い換えればその製品は既にブランド化されている。
さらに詳しく言えば、製品は食品でもアパレルでも、工業製品でも何でもいいが、その製品がこの世にあるだけで、実は製品に付帯するブランド価値は定まっている
(付帯するブランド価値とは 1知名度 2ブランド連想 3知覚品質 4ロイヤリティ 5パテントの5つ。これをブランドエクイティという)。
例えば中小企業があるビスケットを5年間販売しているとしよう。
そのビスケットは5年間の販売を経て、すでに上記エクイティを獲得している訳だが、問題はその中身だ。
“どのように認知されているのか” “愛されているのか” “誰に愛されているのか”これらの問いかけは、時に厳しい現実をブランドと関係者に突きつけるかもしれない。
特にどのようにありたいかという理想やビジョン(これをゴールと呼ぶ)が明確ならなおのこと、きっと何かが足りないという課題が浮かび上がるはずだ。
その足りないものを補完・強化するために我々はブランディングという施策を講じる。パッケージデザイン、ネーミング、製品そのものの改良、プライシング、広告etc
ブランディングは何からやるのか?
ブランディングに取り組みたいと考えた段階で、既に何かしらの問題や課題を抱えている訳だが、まずはそのブランド(対象)をじっくりと見つめ、考えてみよう。
弱点と思われていたことが案外長所かもしれないし、長所と思われていたものが実はそれほどのものではないかもしれない。
あるいはブランドそのものではなく、マネージメントや販売などブランドを取り巻く環境に問題が潜んでいるかもしれない。
「じっくりと見つめ、考える」。なんだ、そんなことかと考える向きもあるかもしれないが、その難しさを知っているのが専門家であると思う。
新製品の場合は、ゴールの設定ということになるが、これはまたの機会にて。
※参考まで、ブランディングの施策や法則について実践的でわかりやすい参考書をトップに貼ってます。
いきなりブランドマネージャーとか広報担当とかに任命されて困ってる方はぜひ手にとってみてください。