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LEAD代表取締役倉本佳英×深田が考える
裏方事業のブランディング
WEBサイトを作っても、信頼されないと意味がない。
深田:一般的には馴染みのない『誘導』という業種ですが、倉本社長は誘導車のPRとかブランディングの重要性を当初からおっしゃっていましたね。
倉本:BtoBの世界って、対外的な見られ方とかを気にしてない企業さんが結構多いんです。特に中小零細企業は未だにやっぱり顔と顔を突き合わせて飛び込んでいくみたいな世界で、会社案内はペラが1枚あったらええんやと。WEBサイトに関しても最低限の情報さえ載っとったらOKみたいな。
深田:そういうところでなぜ対外的なPRだとかブランディングが大事だと?
倉本:そもそもなんですが、荷主さんが20tを超える重量物を運ぶ場合、誘導車の配置から通行許可証、警察の許可っていうところが必要になってくる。一般の人はそれを知らないし、大手のメーカーさんでも細かいルールを知らない場合もある。だから運んでるうちに警告されて摘発されるパターンも多いんです。「そんな規則知らんかった」と。
深田:そうなんや‥‥‥。
倉本:そういう話を営業で行った客先でやってもあまり伝わらない。だったら自分ところのWEBサイトに詳しく書こうと。法令遵守が大事であるし、何より事故を起こさないために。
深田:すごく基本的なところですね。
倉本:結局WEBサイトを作っても、誰に見てもらうか、誰に届くかが大事なんですよ。例えば「輸送は法令遵守をきっちりやる会社です」、と胸を張っているような企業、メーカーさんに一目置かれなくてはダメなんです。そのためには、請負う側のこちらもちゃんと法令に関わる情報を発信して、対外的に見ても信頼の置ける会社だと思ってもらわないとダメなわけで。
見た目が大事だから、見た目から入ろうと。
深田:さらに御社は一歩踏み込んで、会社のシンボルマーク、ロゴタイプまで作られました。WEBサイトで情報発信するだけじゃ足りないと。
倉本:やっぱり誘導車って、安全のために走っていて、いち早く大型車両を誘導していることに気づいてもらうことが大事で。一般車なのか誘導車なのかよう分からんというのはダメなんです。
深田:確かに。
倉本:それで世の中見渡してね、警察であったり、道路公団であったり、県のパトロール車だったり、JR、大阪ガス。ありとあらゆる緊急自動車をチェックしていったら、やっぱり大きな回転灯と、それから誰が見てもわかるマーク、それとカラー。カラーっていうのはやっぱ大事なんやなと思って。誘導車も、そういう誰が見て分かるような車を作っていきたいと。
深田:なるほど。
倉本:商売でもあるんですけど、やっぱり公共の中で仕事するので、安全面をどうやって打ち出していくのかってなると、やっぱり見た目が大事だから、見た目から入ろうと。要は、パトカーや緊急自動車と同じような見え方、仕事の仕方をしないと世間から誘導車を認めてもらえないんじゃないかなと。
深田:恥ずかしい話ですが、お会いした当初は御社の知名度や企業イメージを上げるいうところにばかり意識がいって、倉本社長の誘導車事業にかける志とか、社会的な責任感、安全への意識、それが分かっていなかった。
倉本:それでもよく我々のことを理解してもらった方だと思います。まぁ、この人やったら付き合ってくれると思っていろいろと語りました(笑)。
深田:語り合いましたね〜(笑)。一回の打ち合わせで3時間、4時間くらいはやってましたね。実際にブランディングを導入されて数年経過しましたが、反響や手応えはどうでしょう。
倉本:やっぱりお客様から見た時に、誘導や輸送の車両に『LEAD』のマークが入っていることで、仕事を別々に出しても、また何を頼んでもちゃんとリードの人がやってくれているという安心感はあるみたいです。同じユニフォームを着た、同じ名刺持ったスタッフがいるわけで、そうすると相手は安心です。皆が同じ志で働いてると思ってもらえる。それにマークっていう会社のシンボルがあって、それを朝に夜にずっと見てると、愛着というか、なんかそのマークのもとに仕事をしている気がするんですよ。不思議なもんですね。
深田:まさに旗印ですね。
倉本:会社の車庫を作った時のエピソードですが、従業員が会社のロゴマークを使って看板を自作して「社長、これがないとうちの会社ってわかりませんよ。だからつけときました!」と、頼んだわけでもないのに看板を綺麗に作ってくれていて、あの時は嬉しかった〜
深田:それは嬉しいですね。そういう意味ではデザインの力も多少は貢献できたのかなと思います。
専門家なら、 やっぱり一歩も二歩も先を見た提案が欲しい。
倉本:シンボルマークや社名ロゴについては、僕らは「なんとなくあった方がいいかな」ぐらい認識でずっと来てた。やっぱりね、中小零細の会社ってブランディングなんて考えてる暇もないし、発想もいかないし、それより現場のことを最優先でやってるでしょう。そうすると、会社の発展であったりとか、ブランド意識の醸成とかがどうしても後回しになる。自分たちなりにマーク考えたりWEBサイトを作ったりもしたけど、所詮素人の発想で。マークを作る意義や効果なんて考えてもなかった。それをワードワークさんみたいな本職の人が、いや、そうじゃないですよ。それも大事やけど、こっちも大事ってね。なかなか核心をついた話でかなり刺激を受けましたよ。
深田:いや、恐縮です。
倉本:やっぱり大手さんとかがみんなデザインとかマークを大事にされているっていうのは、こういうことなんだと。気づかせてくれたことに感謝です。
深田:ありがとうございます。むしろ僕の方が気づかされたことが多くて。社長の志、今なら分かるんですよ。誘導車業界の地位を確立させたい、誘導という仕事の地位を向上させたい、運転手さんたちにも誇りを持って欲しい。先ほどの安全性も含めて、そういう志の社長に対して、僕は視野の狭い、浅い話をしていたなと思ってます。いつも形から入るのは最低やと思ってるんですけど、経営者の志をちゃんと理解した上で提案をしないと、恥もかくし、場合によっては最初のプレゼンで終わってしまうので、そこはほんまにもっと慎重にならなあかんなと。
倉本:僕はもうこんな性格なんで、思ってることはポンポンと口(くち)にする。やっぱり企業として成長したい自分たちに対してアドバイスをくれて、専門家として対峙してくるんであれば、 やっぱり一歩も二歩も先を見た提案が欲しいというのが本音。自分たちでできないから、お願いしたいわけであって。
そこに仕事を発注していることが、その会社の信用になる。
深田:その言葉は作り手の心構えとして胸に刻んでおきます。ご商売としては、誘導車事業だけでなく、今では輸送もされて、もう本当にトータルで輸送に関わるお客様のお困りごとを引き受けられる業容にまで拡大されました。最新の会社案内では「お客様と共に考え、共に運ぶ」っていうキャッチコピーを掲げて、「新生LEAD」を対外的に打ち出されてますが、これからの展望はどうでしょう。
倉本:やっぱり物流業界に『LEAD』あり! ってなりたい。僕らは物流を支える縁の下の力持ちで、裏方として17年やってきた。社名には「業界をリードしたい」という想いを込めてますけど、これから業容は変わってもその想いは変わらないですね。誘導事業やってきた時の安全性を保ったまま、輸送もやる。お客さんの信頼を裏切らない。
深田:御社のベースは、やっぱり誘導車で培った安全意識であって、安全っていうのが一つの柱というか、アイデンティティですね。御社独自の安全教本も一緒に作りましたし、行動規範のクレドも整備されたり、それも納得できます。
倉本:そうです。だから当社のお客様も100%コンプライアンス遵守でやってくれっていう人しかいないです。これはすごいことで、「ちょっとぐらいええやろ」っていうお客さんはいないし、もしいても一切載せない。
深田:まさにその覚悟こそがブランディング! 御社に仕事を発注していることが、その会社の信用にもなる。社長はこれまでもっと大きな商売をしたいなんて、一回も言われてないですもんね。「もっと安全に」、「もっと従業員の質を上げたい」、「業界のステータスを上げたい」っていうことをずっと言われてました。
倉本:仕事をするっていうのは、全てにおいて社会貢献なんです。輸送って一歩間違ったら人が死んじゃうんですよね。輸送してる側の運転手であったり、また巻き込まれる一般の方だったり。でも輸送ってね、やらないと絶対いけない。特に我々が運んでるものはもう100%インフラのものばっかりなんです。発電所作ったり、電力関係が多いですから。あと自衛隊の防衛に関するもの、人工衛星であったりとか。そういうかなり大きなもの、特殊なものをやる時に安全を軽視すると必ず大事故が起こるんで、そういうのはやっぱりなくしていきたい。どれだけ大きいもの、重たいものでも、安全に輸送しても何もなかったかのように現地に着く。これをやっぱり誰かがやらないといけない。ただそれだけですよ。
深田:ちょっと、ロマンですね。
20tを越えるような重量物を運ぶトレーラーなどを誘導する誘導車事業者として発足。パトライトの使用許可を国に働きかけたり、誘導車の安全講習を担当するなど、長年にわたって業界の安全性の向上に尽力。近年では輸送事業にも参画し、誘導から輸送、保管まで物流のワンストップサービスを提供し、荷主である多くの企業からの信頼を重ねている。代表者の倉本社長は車・バイク好きで、マニアックなネタを語らせると無双。